ビールと本と旅とおもしろいこと。

富江弘幸(ビアライター)




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『逆境を笑え』が響きまして

逆境ばかりの私です。

昨年の夏前は甲府をよく訪れていまして、特急の中で1時間半ほど自由な時間があったんです。で、この時間に何をするか。

甲府に行く最後の日。それまでは、睡眠時間が極端に少なかったこともあり、特急では寝てばかりでした。が、甲府に行く最後の日は睡眠時間が多いわけではないですが、なんとか昼間やっていけるくらいの睡眠時間を確保できていたので、本でも読もうかと文庫を1冊持っていきました(普段から何冊か持ち歩いてはいるんですけど)。

その日持っていったのは『逆境を笑え』(文春文庫)。2016年はシカゴ・カブスに所属している川﨑宗則選手の本です。

 

ホークスにいた頃は、ちょっといい選手というくらいの認識で、特に好きでも嫌いでもありませんでした。アメリカに行った後は、彼の成績以上に言動や明るさだけが取り上げられているような気がして、つまり、言いにくいですがメジャーでは通用しなかったからその明るさをニュースとして取り上げるしかなかったのかな、と思っていたわけです。

底抜けに明るい感じがするじゃないですか、彼。

でも、メジャーではあまり成績が残せていない。なので、そのうちすぐ日本にすぐ帰ってくると思われる選手のひとり、という認識でもありました。

が、昨年あたりから、彼は違うんじゃないか、明るさばかり取り上げられているけどその人間性は素晴らしいんじゃないか、と思うようになってきました。

アメリカは今年で5年目ですが、まったく日本に戻ろうとしていないじゃないですか(アメリカにいればいいというものでもないですが、そうではなさそうなところが垣間見えます)。成績も残せていないけど明るくてチームメイトから慕われているようですし。英語もそれほどうまくないらしいですけど。

彼から学ぶべきことはたくさんあるはず、その人間性はどこからきているのか知りたい、と思うようになっていったんですね。言い方は悪いですけど、うまくいかないことでも一生懸命やって続けていると、周りの見方もいいほうに変わるような気がするんです。彼を見ていると。実際、彼に興味はあまりありませんでしたけど、いまはすごく興味があります。

で、そのタイミングで見つけたのがこの本。どうやら2014年に単行本として出ていて、それを2016年5月に文庫化したようです。

シンプルな文章で書かれているので、読むのに時間はかかりません。一度読んでもらえれば、響くものはあると思うので、ちょっとでも興味を持ったら読んでみるのをオススメします。

彼は高校では無名の選手で、プロに入ってもまったく通用せずに死にたいとまで思ったり、実はもともとポジティブというわけではなかったようです。

みんなおれのことを前向きだと言ってくれる。
とんでもない。
おれは後ろ向きだぞって。
自分を前向きに見せるようにコントロールする術を身につけただけ。本当のおれは後ろ向きなんだ。
(略)
おれだってマイナスなことも考えるし、凹むこともある。でも、そこで考える。
前へ出よう。
そうすることで、マイナスをプラスに持っていくことができる。

大切なのは、前へ出ること。

このあたりが自分にとって響いた部分。これだけ読むとよくありがちな内容なのですが、彼の子どもの頃からメジャーに行くまでの流れを読むと、当然のことながら厚みがあって説得力のあるものになります。そもそも僕もマイナス思考なので、こうありたいという気持ちが思い入れにつながっているんだと思いますが。

彼は今年36歳。自分も40歳を過ぎたわけですが、まだまだ。前へ出ようかと。

で、次は40歳前後に書いた羽生善治の『捨てる力』を読んでいる、と。読むだけでなく、前へ出ないといけないんですけどね。

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