ビール本が本棚を占拠している私です。
ビール関連本ってワインや日本酒に比べると少ないイメージですが(特にワインは多い)、ここ最近でビール関連本も増えてきました。本格的にビールについて書いている本もあれば、読み物だったり、ビールのうんちく本や辞書系などなど。
ですが、中には情報が古くなってしまって、もうあまり見ていない本もあります。こういった本は資料的な価値があって持っているんですが、これからビールの本を買おうと思っている人にとっては、できるだけ情報が古くないほうがいいですよね。
最近、ビールのおすすめ本を紹介してほしいと依頼を受けたこともあり、どんな本がおすすめなのか、情報が古くなっていないか、古くても問題ないか、といった点で整理しておきたいなと思ったわけです。
本当に簡単な紹介ですが、今回はビール関連本をまとめてみました。ビール本選びの参考にしてみてください。※随時更新していきます。2021年1月3日更新。
ビールの全体的な解説系
教養としてのビール
まずはすみませんが、2019年3月に出版した私の著書から。
『教養としてのビール』というタイトルですが、初心者向けにビールについて全体的な解説を試みた本です。
ただ、第1章と第2章は、これまでのビール本と少し視点を変えています。第1章では、主にビールはみんな同じ味ではないということについて書き、第2章では、クラフトビールとは何か誰もわかっていないということについて書いています。
これまでの本は、「クラフトビールとは◯◯です!」と言いたがっていたのですが、本当にそうですか? クラフトビールって定義あるんですか? ということを伝えたかったのです。
マニアには物足りない本かもしれませんので、あくまでも初心者向けです(マニアにも読んでもらって、違う視点でビールを見てほしいと思っていますが…)。
読み物系
ぷしゅ よなよなエールがお世話になります
よなよなエールを造っているヤッホーブルーイングの井手直行社長の本。ヤッホーブルーイングは今でこそクラフトビール業界最大手ですが、地ビールブームが終わると赤字に。そこから11年連続増収増益へと転換できた理由は……という話。
ヤッホーブルーイングはファンを作るのがうまいんですよね。うまいというか、ファンになってしまうというか。ヤッホーブルーイングには何度か取材していますし、いろいろなメディアに書かれている話ですが、何度聞いてもおもしろいと思ってしまいます。ビジネス本としてもおすすめ。
つなぐビール
岩手県盛岡市にあるベアレン醸造所の専務、嶌田洋一氏の著書。ベアレン醸造所をどのように立ち上げて、地域に愛される醸造所となったかが書かれています。
途中、ちょっと悲しい話もありますが、読後にベアレン醸造所のビールを飲んでみると、しみじみ味わえます。
クラフトビール革命

クラフトビール革命 地域を変えたアメリカの小さな地ビール起業
- 作者: スティーブ・ヒンディ,木内敏之(木内酒造合資会社取締役),小野英作,和田侑子
- 出版社/メーカー: DU BOOKS
- 発売日: 2015/07/03
- メディア: 単行本
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アメリカ・ニューヨークのブルックリン・ブルワリーの話。
なんですが、アメリカのクラフトビールの歴史を語っていると言ってもいいくらいの本です。これを読めば、ビールにとって何が大切なのか、といったこともわかるのですが、逆に言えば、ある程度ビールについてわかっていないと、理解しにくい部分があるかもしれません。
ビールについて知識がついてきたな……と思ったら、その知識をさらにアップさせられる本だと思います。何度読み返してもいい本。
アンソロジー ビール

- 作者: 東海林さだお,川上弘美,阿川佐和子,山口瞳,吉田健一,川本三郎,恩田陸,平松洋子,久住昌之,角田光代,辰巳浜子,室井佑月,北大路公子,赤塚不二夫,内田百けん,大竹聡,椎名誠,村松友視,阿川弘之,伊藤晴雨,坂口謹一郎,星新一,小泉武夫,森茉莉,種村季弘,岩城宏之,開高健,千野栄一,小沼丹,田中小実昌,吉田直哉,立松和平,石堂淑朗,丸山健二,永井龍男,矢口純,佐多稲子,獅子文六,遠藤周作,吉村昭,長田弘
- 出版社/メーカー: パルコ
- 発売日: 2014/07/01
- メディア: 単行本
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ビールをテーマにして書かれたアンソロジー。読み物としては面白いんですが、「キンキンに冷やしてゴクゴクのどごしを楽しむビール」という前提のものが多いですね。
ビールのペアリングやスタイルなどをいちいち気にしていたら読めません。でも、それがその人にとってのビールなんだと思って読むと、それぞれの作家の特徴が見えてきます。
ビール百科・辞典・事典系
ビール全般や特定の分野においてこれさえあればOK、という百科的なものと、ビール用語を辞書的にまとめたものについて紹介します。ビール入門のようなものではありません。
ビール大全

- 作者: ランディ・モーシャー,一般社団法人日本ビアジャーナリスト協会,土岐田明日香
- 出版社/メーカー: 楽工社
- 発売日: 2017/08/23
- メディア: 単行本
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自分が監修に関わったというのもありますが、まず最初に紹介しておきましょう。ハードカバーで約300ページというボリュームで、普段持ち歩いて読むには重いことこの上ない本。アメリカのビアライター、ランディー・モーシャー氏の著書「TASTING BEER」の日本語訳です。

Tasting Beer: An Insider's Guide to the World's Greatest Drink
- 作者: Randy Mosher,Ray Daniels,Sam Calagione
- 出版社/メーカー: Storey Books
- 発売日: 2017/04/04
- メディア: ペーパーバック
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ビールのあらゆることについて網羅してあるので、本当にビールが好きな人なら飽きずに隅から隅まで楽しめると思います。ひとつ難点としては、日本で一般的に通用している固有名詞とは少々異なる表記が気になるところ。まあ、細かい部分ですし、大部分がそうだというわけではないので、問題はないのですが。
世界ビール大百科

- 作者: クリスティン・P.ローズ,マークスティーヴンス,フレッドエクハード,田村功
- 出版社/メーカー: 大修館書店
- 発売日: 1997/12/01
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 2回
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ビールの百科事典ですね。自分は記事を書くときに、辞書的に使っています。読み物として「あ」から読んでいってもおもしろいかと。初版が20世紀なので、内容としてはアップデートしてもらいたいところですが、全体的にはまだまだ使える本だと思います。
ビール語辞典

ビール語辞典: ビールにまつわる言葉をイラストと豆知識でごくっと読み解く
- 作者: リース恵実,瀬尾裕樹子
- 出版社/メーカー: 誠文堂新光社
- 発売日: 2016/06/17
- メディア: 単行本
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「辞典」という名の通り、辞典としての役割も期待できるのですが、これは読み物として読んだほうがいいかもしれません。ほぼすべての項目にイラストか写真が入っていて、なかなか手がかかっているなと思わせる本。
ビール関連の用語に加えて、ブルワリーだったり名言だったり、コラムまで掲載されていて、飽きない工夫が施されています。これは確実に辞書的には使わない(使えるけど)。
ベルギービール大事典
ベルギービールについて、写真も交えて詳しく紹介している本。そもそもベルギービールとは何なのか、どう楽しんだらいいのか、といった基本的なことをわかりやすく解説しています。
そして、225銘柄のベルギービールが写真付きで紹介されているんですが、多くの銘柄ではグラスも合わせて載っています。ベルギービールはグラスにも特徴が出ているものが多いので、これは見ていて楽しい。
ただ、銘柄のカタカナ表記が日本で一般的に書かれている表記ではなく、できるだけ現地語の発音に近づけた表記なので、索引が少々わかりにくいのが難点でしょうか。
ベルギービール大全
ベルギービールの本といえばコレ、というくらい、よくまとまっている本。2011年に改訂版が出て以来、その後は改定されいないようですが、その前から地道に売れ続けていたようです。
165銘柄が掲載されていて、そのすべてがボトルとビールを注いだグラスの写真付き。その銘柄オリジナルのグラスだけでなくビール自体の色もわかるので、見ていて楽しいです。味わいのチャートや飲み頃温度も表記されています。
図鑑系
ビール紹介本も含め、ビールのデザイン本のようなものも含めています。パラパラめくっているだけでも楽しい本。情報が古くなっているのもありますが、図鑑として楽しむという目的であれば問題ないと思います。
死ぬまでに飲みたいビール1001本

- 作者: 渡辺純,こゆるぎ次郎,エイドリアンティアニー‐ジョーンズ,Adrian Tierney‐Jones
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川マガジンズ
- 発売日: 2014/09/20
- メディア: 単行本
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分厚い。この本1冊だけで自立できるくらい分厚い。当然値段も高いです。5000円+税。どういった基準で1001本を選んでいるのかはわかりませんが、1本あたり5円で情報が得られると考えてみると安いような……?
そもそもこの本は訳書なので、日本では売られていないビールもたくさん掲載されています。知らないビールを知ることができるという意味ではいい本です。まあ、訳書によくある、こなれていない日本語が気になりますが……。
世界のビール図鑑
こちらも訳書。1銘柄当たりの文章が短いので、ほぼ写真を見るための本だと考えています。
で、初版から年数が経ってしまっているので、ラベルが古いものも。そういう意味では資料的価値のある本といえるかもしれません。ところどころ「ブルワリー訪問」と題して、ギネスやウルケルなどの醸造所を紹介しています。