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富江弘幸(ビアライター)

さくらももこの訃報と自分の転機と

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おもしろい文章が書きたい私です。

 

さくらももこが、

 

 

と、書いたところでふと思いました。「さん」を付けるべきか、「氏」を付けるべきか。一般的には「先生」がベストなんでしょうかね。

 

ですが、敬称を付けると自分の中で全く別の人物になってしまいそうなので、今回に限っては、敬意を表しつつも「さくらももこ」と敬称なしで表記させていただきます。

 

さくらももこの訃報に接して 

さくらももこが亡くなったことを知ったのは、ニュースアプリの通知でした。スマホ画面の通知の小ささと、さくらももこ死去の報という大きさが釣り合わず、瞬間的に頭の処理速度が著しく遅くなった感じもありました。

 

Twitterを見ていても、さくらももこの訃報に関するツイートが多く見られましたが、自分ではなかなか脳内処理ができなかったんですよね。なので、

というツイートしかできませんでした。その当日は。

 

で、今になって、さくらももこにまつわる話を思い出して、ちょっと思い出しながら書くことができるようになった、と。

 

といっても本人との面識はありません。ただ、影響を与えられたというだけです。その点では世の中の多くの人と同じだと思います。何も感動するような話でもなく、どこにでもありそうな話なのですが、書き留めておきたいと思います。

 

さくらももことセキネと 

話は高校時代に遡ります。

 

同じクラスに仲良くしていたセキネというヤツがいました。ふざけた感じもありつつも根はマジメなヤツで、クラスの中では人気があったほうだと思います。

 

一方、自分はといえば人見知りでネガティブでクラスでもほとんど目立たない存在。ですが、セキネは誰とでも仲良くできるようなヤツだったので、自分ともよく話をしてくれていました。なぜ仲良くしてくれていたのかはわかりませんが、自分にとって話をしてくれるセキネはものすごくありがたい存在だったのです。

 

ある日、セキネは一冊の漫画を学校に持ってきました。

 

「これ、すげえおもしろいから読んでみろよ」

 

セキネから渡された本は少女漫画風の装丁、というか少女漫画そのものでした。読んでみろと言われても、根暗な高校生が自分の席で少女漫画を読むのはちょっとな……と抵抗があったのは事実です。が、それこそが『ちびまる子ちゃん』でした。

ちびまる子ちゃん (1) (りぼんマスコットコミックス (413))

ちびまる子ちゃん (1) (りぼんマスコットコミックス (413))

 

その頃にはすでにアニメ化されていたかもしれません。しかし、自分はほとんどテレビを見なかったので、これが『ちびまる子ちゃん』とさくらももことの初めての出合いだったのです。

 

拒否反応はあったのですが、セキネの言うことだし少しだけ読んでみるかとページを開いたら……

 

 

すげえおもしろい!

 

 

すぐに1巻を読み終えてしまったんです。そして、その当時に発売されていた全巻をセキネに持ってきてもらい、すべて読了。こういう少女漫画もあるんだと、新しい世界を発見したような感じがしました。

 

もものかんづめが自分の転機だったかもしれない

その後、セキネは漫画ではなくエッセイを持ってきました。確かこれが『もものかんづめ』だったと思います。

もものかんづめ (集英社文庫)

もものかんづめ (集英社文庫)

 

具体的な内容はもう忘れてしまいましたが、『ちびまる子ちゃん』の世界をそのまま文章にしたようなエッセイ。

 

こんな文章を書いてもいいんだ。

 

いま思えば、これが自分の転機のひとつだったかもしれません。今でこそ文章を書くことを仕事にしていますが、当時は本を読むのは好きでも書くことはむしろ嫌いでした。

 

ですが、『もものかんづめ』を読んで以降は、日直が書く日誌でみんなを笑わせてやろうと必死でおもしろい文章を書いていたように思います(クラスのみんながおもしろいと思ってくれたかは知りませんが……)。

 

そこから、自分が好きなことについて書いたり、人を面白がらせることを書いたりすることは、苦ではなくなってきたのです。むしろ好きになったと言っていいでしょうね。書くことを仕事にしているわけですから(読者がおもしろいと思ってくれているのかはわかりませんが……((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル)。

 

自分に影響を与えた作家2人

おもしろい文章を書くことについては、大学生になってからさらにその気持ちが強まりました。さくらももこ以降で自分に影響を与えた作家は2人います(好きな作家はたくさんいますが、書くことについて影響を与えたのは2人)。

原田宗典

ひとりは原田宗典。

最初に『十九、二十』を読んで、その当時は自分も19歳だったこともあり、作品の世界に入り込んでしまいました。

十九、二十(はたち) (新潮文庫)

十九、二十(はたち) (新潮文庫)

 

こんな青春を題材にした小説も書く原田宗典ですが、エッセイは笑わずにいられない文章が満載。違う作者が書いているんじゃないかと思うほどで、自分はどちらかといえばエッセイを書いている原田宗典が大好きでした。

十七歳だった! (集英社文庫)

十七歳だった! (集英社文庫)

 

 

宮田珠己

もうひとりは宮田珠己。

 

大学3年生になってバックパッカーに目覚めた自分。当然のことながら沢木耕太郎の『深夜特急』をバイブルとして読んでいました。

深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫)

深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫)

 

 

さらには、蔵前仁一の『ゴーゴー・インド』。

ゴーゴー・インド

ゴーゴー・インド

 

 

そして、この蔵前仁一が主宰の『旅行人』というミニコミ誌で連載していた作家のひとりが宮田珠己。

[雑誌]旅行人166号 (インド、さらにその奥へ、1号だけ復刊号)

[雑誌]旅行人166号 (インド、さらにその奥へ、1号だけ復刊号)

  • 作者: 蔵前仁一,宮田珠己,前川健一,田中真知,井生明,松岡宏大,武田善尋,小西公大,小川周佑,小林真樹,吉田惇士,緒方明彦,齋藤正助
  • 出版社/メーカー: 旅行人
  • 発売日: 2017/09/29
  • メディア: 雑誌
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宮田珠己は、さくらももこや原田宗典のエッセイのようなテイストとは違いますが、独特な笑わせる文章を書いていました(最近はやや方向性が変わってきている感じもしますが)。 

旅の理不尽 アジア悶絶編 (ちくま文庫)

旅の理不尽 アジア悶絶編 (ちくま文庫)

 

 

電車の中で読んでもついつい笑ってしまう、原田宗典や宮田珠己の文章。沢木耕太郎のようなカッコいい文章も大好きですが、いろいろと本を読んだ結果、自分が書きたい(書ける)のはおもしろい文章なのではないか、との結論に至っています。

 

まあ、もちろんおもしろいと思ってもらえるかどうかは別な話なのですが、そこに至るスタート地点はさくらももこだったんじゃなないかなあ、と今になっては思うわけです。おもしろいエッセイは『もものかんづめ』が最初でしたから。

 

そして、さくらももこは亡くなり、原田宗典は覚醒剤取締法違反で逮捕、とファンとしてはなかなか悲しい状況なので、宮田珠己にはまだまだ元気で頑張ってもらいたいと思う次第です。 

 

人に影響を与えることが自分の生きた証

さて、さくらももこの訃報に接して、つまりはここで何が言いたいのかというと、人に影響を与えることが自分の生きた証、だということ。ま、これは自分の価値観なので、他の人もそうだとは思いませんが、自分はそうでしか自分の存在意義を認められないのです。

 

そういう意味で、さくらももこは自分の人生に大きな影響を与えたひとりであって、できることなら自分も誰かの人生にいい影響を与えたいと思うのです。できるだけ多くの人にいい影響を与えたい。そう思って生きています。まあ、なかなかうまくはいかないのですがね。

 

さて。

 

セキネがさくらももこを通して自分に大きな影響を与えたように、実は自分もセキネに大きな影響を与えました。

 

それは、巨人ファンだったセキネをヤクルトファンに改宗させたこと。

 

これは人生においてかなり大きい影響であることは間違いないでしょうね。授業が終わった後すぐに電車に乗り込んで、2人で尾花投手の引退試合を神宮球場まで見に行ったことはいい思い出です。

 

と、「死せる孔明生ける仲達を走らす」ではないですが、亡くなってもなお、セキネとの思い出をブログに書かせるくらい、さくらももこは自分に大きな影響を与えた作家だったんじゃないかな、と思っています。最近は著書や漫画を見ていませんでしたが、亡くなられたことは非常に残念でなりません。

 

ご冥福をお祈りいたします。